この本尊薬師如来は、聖武天皇の御宇天平2年(730年)5月海中より出現し賜うた。
行基菩薩が當山を創立せられた事由は、天平2年5月下旬の頃、当国鳴海の漁夫が某日鳴海潟沖に船を出し網をしたところ、一つの古びた木像を拾い上げたので、如何なる尊像であろうかと持ち帰り、里人に聞いたところ誰も知る者がない。
然るところ丁度幸いにも行基菩薩が当地行脚に来られたのに会し、お尋ねしたところ、薬師如来であると鑑定せられ、菩薩はこの本尊を貰い受け、どうかして一宇を草創し、この霊像を安置し奉りたいと志を起こし、聖武天皇勅命を奉じて諸国を行脚、専ら信者の浄財を募り、天平6年(734)10月七堂伽藍を建立し、霊像を開眼安置し、本尊が海中より出現し賜うた因縁を以って、青海山藥師寺寶光院と称した。
「尊像に(天平二年五月十二日鳴海荘海中より網にて引上希同年十月行基菩薩開眼供養)と書かれてある。同年とは天平六年ならんか。」 |